「イン屋」と「アウト屋」――前付けを体現する選手、あえて外を選ぶ選手【個性派レーサー紹介】

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前付けはなぜ難しいのかという記事で、内側のコースを奪う「前付け」がどれほどリスクを伴う戦法かを説明しました。今回はその前付けを体現する選手たち――ファンの間で「イン屋」と呼ばれる選手と、逆にあえて外側のコースを選ぶ「アウト屋」と呼ばれる選手を紹介します。名前と持ち味を知っておくと、出走表に見覚えのある選手がいるだけでレースがぐっと身近になります。

⚠️ 「イン屋」「アウト屋」はboatrace.jp公式の用語ではありません。ファンや分析サイトの間で使われている呼び名です。この記事で挙げる選手名・エピソードも公式サイトではなく複数のファン・分析サイトを参照しており、「〜と呼ばれる」「〜とされる」という伝聞の形で紹介します。

「イン屋」――枠番に関わらず内側を取りにいく選手

出走表の見方で説明した通り、レース前に割り当てられる艇番(枠番)と、実際にスタートで並ぶ進入コースは別物です。「イン屋」は、自分の枠番が何号艇であっても、積極的に前付けをして内側のコース(主に1〜2コース)を取りにいく選手を指すファン用語です。

複数のファンサイトが「イン屋」として挙げる選手の一部を紹介します。

  • 西田靖(登録番号3072・東京支部):ペラの調整・ピット離れのうまさから「スーパーピット離れ」と呼ばれ、5号艇・6号艇からでも1コースを取りにいく姿勢を貫くことで知られています。
  • 今村暢孝(登録番号3265・福岡支部):相手が誰であっても2コースまでは取りにいく「ゴリゴリのイン屋」と評され、差しを得意とするスタイルとして紹介されています。
  • 西島義則(登録番号3024・広島支部):「インの鬼」の異名で長くファンに知られてきたベテラン選手です。

前付けが難しい理由で説明した通り、内側を奪うにはボートが止まれないという制約の中で助走距離を犠牲にする必要があります。イン屋と呼ばれる選手たちは、そのリスクを承知の上で内側のコースへ挑み続けているということでもあります。

「アウト屋」――内側が有利でもあえて外を選ぶ選手

「アウト屋」はその逆で、枠番が内側でも、あえて外側(主に5〜6コース)へ回る選手を指すファン用語です。挙げられる理由としては、助走距離を長く取れてスタート調整がしやすいこと、最高速に乗った状態で1マークを旋回できること、格上相手とのコース争いを避けつつ一発を狙えることなどが紹介されています。

  • 小川晃司(登録番号3352・福岡支部):1号艇・2号艇を任されても常に6コースへ向かい、引退するまでこのスタイルを貫くと公言していると紹介される、現役では数少ない筋金入りのアウト屋です。まくりや差しを絡めた勝負強さでも知られています。
  • 阿波勝哉(登録番号3857・東京支部):デビューから約29年間、1号艇を任されても6コースへ回るスタイルを貫き「伝説のアウト屋」と呼ばれてきました。ただし2025年、出場停止期間を経て「枠なり進入」を中心とするスタイルへ転向したと複数のファンサイトで報じられており、現在は必ずしもこのスタイルではありません
進入コース(内側 → 外側) 123 456 イン屋が狙う傾向 アウト屋が選ぶ傾向 ※あくまで傾向。枠番どおりの「枠なり」進入になることも多くあります
イン屋・アウト屋は、枠番でなく実際の進入コースに現れる傾向(ファンサイトの紹介による)

番外編:「まくり」を得意とする選手も

アウト屋(進入そのものを外側に取る選手)とは少し違う切り口として、進入コースにかかわらず「まくり」という決まり手を得意とする選手も存在します。

  • 堀之内紀代子(登録番号4011・岡山支部):2〜4コースからのまくりを最も得意とすると紹介され、女子選手の中でも屈指の「まくり屋」と評されています。
  • 菅章哉(登録番号4571・徳島支部):「艇界のガースー」の愛称で知られ、枠順に応じてチルト角度(機体をどれだけ傾けるか)を使い分けながら、まくりを最も得意な決まり手とする選手として紹介されています。一方で1コースからの「逃げ」も得意とし、決め手を一つのコースに固定しない柔軟なスタイルとされています。

進入コースを外に置くこと(アウト屋)と、決まり手としてまくりを多用すること(まくり屋)は本来別の軸ですが、どちらも「外側から前を奪う」という点で見どころが共通しています。

なぜこうしたスタイルが生まれたのか――かつての「持ちペラ」制度

アウト屋という戦法が育った背景として、複数のファンサイトが「持ちペラ」制度を挙げています。1988年から2012年4月まで、選手は自分専用のプロペラを自ら加工・持ち込みできる時代がありました。この間、アウト屋の選手たちは独自にプロペラを研究・調整し、外側コースでも通用する伸びを作り出していたとされます。

2012年4月にこの制度は廃止され、以後はモーターと同様、プロペラも会場から貸与される仕組みに切り替わりました。現在は、選手個人の腕前とチルト角度の調整(機体をどれだけ傾けるか)が、アウト屋のスタイルを支える主な要素として語られています。

個性を知ると、応援がもっと面白くなる

出走表に「イン屋」「アウト屋」と呼ばれる選手の名前を見つけたら、その選手がどのコースに進入するかに注目してみましょう。枠なり進入とは違う駆け引きが見えてくるはずです。前付けが難しい理由で説明したリスクを背負ってでも自分のスタイルを貫く姿は、選手を推す楽しみ方の入り口にもなります。

よくある質問(FAQ)

Q. 「イン屋」「アウト屋」は公式の用語ですか? A. いいえ。boatrace.jp公式の用語ではなく、ファン・分析サイトの間で使われている呼び名です。

Q. イン屋の選手は必ず内側のコースに入るのですか? A. 必ずではありません。あくまで「積極的に前付けして内側を狙う傾向がある」と紹介されている選手たちで、レースによっては枠なり進入になることもあります。

Q. アウト屋は不利なコースをわざと選んでいるのですか? A. 内側のコースの方が一般に有利とされていますが(なぜ1号艇が有利なのか参照)、アウト屋と呼ばれる選手は助走距離やスタート調整のしやすさ、最高速での旋回といった外側コースならではの利点を活かすスタイルとして紹介されています。

Q. こうした選手はどこで見分けられますか? A. 出走表や直前情報だけでは分かりません。実際のレースで進入コースがどう決まるかを見ていくうちに、選手ごとの傾向がつかめてきます。

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